積読3冊ご紹介/『西瓜糖の日々』『氷』『人間の絆』
月に2万円程度は間違いなく書籍に費やしているものの、積読が多くてまったくのお金の無駄と自覚せざるをえません。昨日はお賃金がもらえる日だったので、本屋さんに直行して、BILLY BAT(16) (モーニング KC)とWIRED VOL.15 (GQ JAPAN.2015年4月号増刊)と芸術新潮 2015年 04 月号 [雑誌]とキネマ旬報 2015年4月上旬号 No.1685を購入しましたが、それより2日前に買った岡崎京子 戦場のガールズ・ライフですら、さらさら読み切っていないという状況。
せっかくなので購入したはいいものの、半端に読み切っていない積読たちをブログに掲載することで、全くの無駄でもなかったと自分を励ましたいと思います。Yes, it's 自己満 !(玉井雪雄風に)
・読了率だいたい40%『西瓜糖の日々』河出書房新社(R・ブローディガン/藤本和子訳)
- 作者: リチャードブローティガン,Richard Brautigan,藤本和子
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2003/07
- メディア: 文庫
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内容(「BOOK」データベースより)
コミューン的な場所、アイデス“iDeath”と“忘れられた世界”、そして私たちとおんなじ言葉を話すことができる虎たち。西瓜糖の甘くて残酷な世界が夢見る幸福とは何だろうか…。澄明で静かな西瓜糖世界の人々の平和・愛・暴力・流血を描き、現代社会をあざやかに映して若者たちを熱狂させた詩的幻想小説。ブローティガンの代表作。
寝ます。
「自分にとって特に読書がしやすい環境」というのが、誰にでも一か所はあると思うのですが、わたしにとってその一つが飛行機です。実家へ帰るおよそ1時間半。手荷物として機内に持ち込めるものは限られているので、本の類はせいぜい1冊か2冊ってところですが、漫画を1~2冊読むのでは1時間半は長すぎるから、いつもわたしは小説を読むことにしています。基本的に「読む」しかすることがないので、飛行機内での読書はたいへん捗るのですが、『西瓜糖の日々』は寝ました。帰りの飛行機内でも寝たので、それ以来、読み進めることができません。
(第一編「西瓜糖の世界で」より)
わたしはきまった名前を持たない人間のひとりだ。あなたがわたしの名前をきめる。あなたの心に浮かぶこと、それがわたしの名前なのだ。
たとえば、ずっと昔に起こったことについて考えていたりする。ーー誰かがあなたに質問をしたのだけれど、あなたはなんと答えてよいかわからなかった。
それが、わたしの名前だ。
そう、もしかしたら、そのときはひどい雨降りだったかもしれない。
それがわたしの名前だ。
ずっとこんな調子で、長い長い詩のような物語です。じっくり腰を据えて読むよりも、空き時間にちょくちょく読むほうがいいものかも。この幻想的な世界観は決して嫌いじゃないんですけどね…。
・読了率だいたい50%『氷』河出書房新社(ウラジーミル・ソローキン/松下隆志訳)
内容(「BOOK」データベースより)
2000年代初頭のロシア―酒とドラッグに溺れるモスクワ大学の学生ラーピン、売春で日銭を稼ぐ愛くるしいブロンド娘ニコラーエワ、極上のスーツを身につけた知的な中年男ボレンボイム。金髪碧眼の一味に捕らわれた彼らの胸に青い氷のハンマーが振り下ろされる。そして彼らは不思議な「真の名」を語りはじめる。戦争と虐殺と謀略の20世紀を舞台に、「原初の光」の再生を目指すカルト集団の物語―。現代ロシアのモンスターによる“氷三部作”、エピソード2より刊行開始!!!!
初ソローキンですが、半分ほど読んで手つかず。正直ポストモダンとかよく分からんです。帯についてた池澤春菜の「おソローキン‼ おそロシア‼ ソローキンは氷のハンマーで私の心臓を打った」の勢いに惹かれて購入。村上龍の暴力的なエネルギーあふれる世界観を期待して読んでみたら、確かに暴力的ではあるものの、いまいち疾走感の足りない印象で、面白いのは間違いないんですが、当時「作者の勢いに振り回されて放心したい」気分だった時に読んだということもあって、「もう少しなんだけどなあ…」で止まっています。あと半分以下なんだからすぐなのに! すぐなんだよわたし!!!
・読了率だいたい75%『人間の絆』新潮文庫(モーム/中野好夫訳)
あらすじの引用ができませんでしたが、早い話が『月と六ペンス』で有名なモームの自伝小説です。片足が不自由な主人公がそのコンプレックスを抱きながら送った人生のなかで見つけた唯一の「人が生きる意味」を暗中模索する物語で、上下巻あってスーパー長くはあるものの、文章は平易なのでたいへん読みやすいです。少なくとも下手にフォークナーやボルヘスの短編に手をつけるよりははるかにとっつきやすい。主人公の卑屈なところとか、自分で自分のダメなところを自覚しつつも改善できないクズ加減とか、永久不変な人間の“ある側面”を描き出してて、共感できます。
それなのになんで残り75%で読み切れないのよって話なんですが、長いので単純に時間がかかるのです。年末年始の1週間で上巻を読み切ったのですが、1月~2月の土日にちょこちょこ読んでいたら、すぐに登場人物の名前を忘れるもので、ページを戻っては読み進み、戻っては読み進み、の繰り返し。腰を落ち着けて読めばまったく何てことなく読み切れるとは思うのですが、「どうせすぐに読み切れるし~」という気持ちがよけいに遠ざけます。ほんとダメダメ。
以上、積読中の小説3作品の紹介でした。あとは、中上健二の軽蔑 (角川文庫)とか、モリスンのビラヴド―トニ・モリスン・セレクション (ハヤカワepi文庫)とか、ゲーテのヴィルヘルム・マイスターの修業時代〈上〉 (岩波文庫)とか、買ったはいいけど、まっっったく手につけていないものが何冊もありますので、それはまた追って。
ブログ書きながら「なんでこんな名作を読み切れないんだろう…」という自己嫌悪に陥りつつ、なんとなく中身を思い出して続きが気になってきたので、少なくとも今月中に『人間の絆』くらいは読み終わろうか、という気持ちになりました。そういう意味でもブログは良いきっかけになりえますね。