十代女子のイタさと痛さ
わたしは自分が未だに中二病だの自分が主人公の妄想癖だのを患ったイタい人間だからか、十代女子(あるいは思春期女子)の肥大した自意識と不安定な情緒と突飛な想像力が好きで好きでたまらなかったりします。先日、「リュウグウノツカイ」なる映画が8月頭に公開するとのニュースを読んだのですが、「アメリカで実際に起きた女子高生集団妊娠騒動を題材にした青春映画」との触れ込みで、「女子高生集団妊娠騒動」という単語の意味不明さに胸が躍りました。
アメリカで起きた女子高生集団妊娠騒動とは
検索したら日刊スポーツの記事が見つかったので、転載します。
米東部マサチューセッツ州グロスター市の高校で女生徒のグループが一緒に妊娠、出産し、育てようとの“協定”を結び、17人が妊娠したことが今年に入ってから発覚、市当局が20日までに調査を始めた。米メディアが伝えた。
女生徒らは妊娠するための相手として同級生のほか、20代のホームレス男性も選んでおり、米社会に衝撃を与えている。米国では一昨年、10代の妊娠が増加に転じ、最近も人気歌手ブリトニー・スピアーズさんの妹の女優が17歳で女児を出産。一部メディアはこうした風潮が事件の背景にあると伝えた。
米メディアによると、高校の保健室担当者が妊娠の相談にくる女生徒が増えたことに気づき、校長らが調査したところ、女生徒の1人が協定の存在を告白したという。妊娠した女生徒の約半数が15歳か14歳。グロスター市のファーマー教育長は「彼女たちには(子育ての)目的も方向性もなかった」と述べ、仲間内の遊びがエスカレートした可能性を示唆した。
マサチューセッツ州では16歳以下の未成年者との淫行(いんこう)は犯罪。同市のカーク市長は事態解明のための調査を行うと表明したが、同級生の男子生徒については未成年者であることも考慮し対応したいとしている。
[2008年6月21日9時29分]
色々検索してみると、このニュースに触発されて制作された映画は「リュウグウノツカイ」だけではないようで、日本では映画公開どころかビデオスルーさえされていませんが「17girls」という映画がアメリカにはすでにあるようです。
「思春期女子」というアイコン
そしてこのニュースを受けて思い出したのが、昨年話題になったこの事件→「小田原の中学で教室水浸し 中2女子2人「漫画のまね」 ― スポニチ Sponichi Annex 社会」
ネットでは何の漫画のマネをしたのかということが議論されていたりもしましたが、そんなことより何よりも、この事件がもたらした素敵な副産物といえば、漫画家の今日マチ子がtwitterにUPしたこの素晴らしいイラストではないかと…!
女子中学生ふたりが学校を水浸しにしたり消火器まいたりした事件 こんなかんじかしらね pic.twitter.com/ebKznm8nOK
— 今日マチ子 kyo machiko (@machikomemo) 2013, 5月 2
リアル思春期の彼女たちは「イタさ」というよりも文字通りの「痛さ」を抱えているような感じ。単純なようで複雑な人間関係の中で自分自身の立ち位置を相対的に図りながら、個性を犠牲にして得るものがトモダチなのです。「個性的になりたい!(アイデンティティが欲しい!)」と思ったら、そら漫画やアニメの世界に没入してしまうものです。オタクもひとつのアイデンティティ。分かります。(その点、美人や優等生や運動できる子とかは、それだけでアイデンティティなので、自分と分かり合えない友達を無理につくる必要がなくていいですね。わたしも美人に生まれればオタクにならずに済んだのに)
思春期女子はわたしたちが思っているほど子どもではないし、彼女たちが思っているほど大人でもない。その狭間で揺れて、揺れて、笑いながら傷ついたり、あるいは傷つきながら笑ったりしているところに、クリエイターたちを刺激する何かがあるのでしょう。
そういえば昨年、IKKIで連載されていた『ぷらせぼくらぶ』という漫画があるのですが、これがなかなか思春期女子の揺れる自我を瑞々しく描いていて、個人的にかなりヒットしました。
大人になるのはこわいし、さみしい。
「箱があったらその中で眠ってしまいたい。そしてそのままそれを宇宙の片隅の誰も知らない場所にとばしてほしい」―――
へちゃむくれでネガティブでナイーブな中学生の女の子・岡ちゃんほか、
「平凡だけど、ほんのちょっとだけ特別でありたい。でもやっぱり特別なんかにはなれない」、そんな多感な中学生達を独特のタッチで描き出した連作短編集。
岡崎京子やくらもちふさこや望月花梨や押見修三などなど、揺れる10代を描く名手はたくさんいますが、大人になった今、当時のちくちくした思いをよみがえらせてくれる漫画はなかなかないので、とても新鮮。