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アンディ・ウォーホル展に行ってきたよ!

遅ればせながら、もうじき会期終了になるアンディ・ウォーホル展:永遠の15分 | 森美術館へ行ってまいりました。

ミスター・ポップ・アート、国内史上最大の回顧展

ポップ・アートの旗手、アンディ・ウォーホル(1928-1987年)は、米国に生まれ、消費社会と大衆文化の時代を背景に活躍した、20世紀後半を代表するアーティストです。デザイナー、画家、映画制作者、社交家と多様な顔をもち、ジャンルを超えたマルチクリエーターとして活躍しました。
本展は、700点におよぶ初期から晩年までのウォーホルの作品と資料を包括的に紹介する、日本では過去最大級の回顧展です。作家の主要シリーズを網羅した本展はウォーホルを知らない人には「入門編」となります。また、《人体図》をはじめ、日本初公開の作品も多数含まれる本展は、ウォーホル通が見ても新たな発見や驚きがあることでしょう。

森美術館10周年記念展
アンディ・ウォーホル展:永遠の15分

会  期: 2014年2月1日(土)-5月6日(火・休)
会  場: 森美術館六本木ヒルズ森タワー53階)
   

私のアート知識はほとんど一般常識的なレベルでしかないので、アンディ・ウォーホルというと、世界的に有名なマリリン・モンローやキャンベル・スープのシルクスクリーン群くらいしか知りませんでしたが、20世紀のアメリカ文化をこれでもか!というほど表現した作品の数々を見て、本当に大量生産、大量消費の時代を愛した人だったんだなあということをしみじみ感じました。

キャンベル・スープに代表されるように、機械によってありとあらゆるものが均質化、均一化される時代において、個性というものはあってないようなもの、もしくはあると思い込んでいるだけで本当はないものなのでしょう。我々は同じテレビを見て、同じ雑誌を見て、同じ芸能人に憧れて、同じメイクをして、同じファッションに身を包む。でもそれの何が悪いのでしょうか?

 

みんな機械になればいい。誰も彼もみんな同じになればいいんだ。

“ I think everybody should be a machine. I think everybody should like everybody.”

なんでオリジナルじゃないといけないの? 他の人と同じがなんでいけないんだ?

“But why should I be original? Why can't I be non-original?“

 

会社の同期がリクルートスーツに身を包んだ就活中の学生を見て「何で就職活動っていうのは、個性を発揮するべきところのはずなのに、誰もが個性を抑えて同じスーツ、同じ髪型で、同じことを言って、それが良いこととなってしまうんだろうね」というようなことを言っていたのを思い出しました。均一化、均質化は今や現代社会における美徳なのです。

テーマとなっている「永遠の15分」とは、60年代にウォーホルが発した有名な言葉将来、誰でも15分は世界的な有名人になれるだろう “In the future everyone will be world-famous for 15 minutes.”」に由来しています。「誰でも15分だけ有名になれる」とは逆を言うと「15分だけしか有名になれない」ということ。そして今ではこの言葉は現実となっています。Youtubeニコニコ動画でいくらでも自分自身を発信することができる世の中。そしてその動画や音楽がいくら人気となっても、あっという間に忘れ去られて、人は次に自分を楽しませてくれるものへと飛び渡っていく。

他にもビジネスとしてのアート活動とか、映像制作についての姿勢とか、色々と考えさせられることの多い展覧会でした。大満足!

ところで、アンディ・ウォーホルについてもっと知りたいな~と思っていたら、エッセイ本を書いていたそうです。ショップにも置いていたので買おうかどうか悩みましたが、すっかり例の言葉「僕を知りたければ作品の表面だけを見てください。裏側には何もありません“If you want to know all about Andy Warhol, just look at the surface of my paintings and films and me and there I am. There's nothing behind it.”」に感化され、何となく今回は見送りました。でもいつか買って読みそう。

ぼくの哲学

ぼくの哲学

 

ところで、ウォーホルと同じく20世紀を代表する芸術家にヨーゼフ・ボイスがいますが、作品そのもの以上の価値を(積極的には)広げようとしなかったウォーホルとは対照的に、彼はアートを拡張し社会変革に繋げようと試みました。ボイスの提唱した「社会彫刻」という考え方をはじめ、彼のアートに興味はあるものの、めちゃくちゃ重そうで怖いです。どこかで腰を入れて勉強してみたい…。

 

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